いつもぼんやり始まってぼんやり終わるコラム。今回もそんな感じで進みます。

文献調査がひと段落してほっとひと息。近所のカフェに本を持ち込んでいそいそと読書していたら、こんな一節が目に留まりました。

「クウネル」がいったん休刊になってリニューアルした。これってひとつの区切りなんじゃないかなって思います。ふつうの暮らしを大切にすることが大事ってことはみんなわかってきた。本の世界も器の世界もこれから先、どうなるかさっぱりわからないけれど、私自身は器や道具はもうあんまり要らないんじゃないかなって思ってます。

伊藤まさこ「おいしいってなんだろ?」

2017年の本ではありますが、さすが第一線で活躍されているスタイリスト、鋭いな、と思いながら読みました。

「暮らし」のブーム

俗に「暮らし系」と呼ばれるような本を読んだり集めたりするのが好きですが、その界隈にももちろんブームはあると思います(ちゃんと体系立てて調べたわけではないですが)。ナチュラル系だったり、丁寧な仕事を大事にする動きだったり、ミニマリズムだったり。それこそ、伊藤さんの言うような「物へのこだわり」だったり。

伊藤さんの話を受けて思うのが、ちょっと話はズレるかもですが、「効率的で」「時短で」「きちんと整理された」暮らしのブームは、そろそろ終わるのではないか?という匂いを何となく感じるのです。

「もっと自分の人生や暮らしは、破天荒で、ダイナミックで、流動的で、カオスでいいのではないか?」という揺り戻しがやってくるのではないか?と。そういう風に考える人たちが、いわゆる「暮らし系」「インテリア系」のエッセイストだったり、スタイリストの中から出てきてもおかしくないんじゃないか?と思ったわけです。

お手本はヴンダーカンマー?

じゃあなんでそういう風に思ったのかというと、最近何だか「博物画」に関する本をよく書店で見かけるなーと思ったからなのです。

ここらへんが最近出たやつかな。もう挙げたらちょっときりがないのでこの辺にしますけど。私の肌感覚で恐縮なのですが、数年前と比べてこの手の本が出版されるペースが速いと感じます。なんだろう。どういうブームが起きているの?やっぱり流行っているの?とミュージアムグッズヲタとしては不思議です。

ここらへんの近代的な博物館ができる前の時代。「珍奇なモノ」を集めて見せるのが流行した、「驚異の部屋(ヴンダーカンマー)」への憧れというのが年々募ってきたり、ブームになっていたりするのかしら、と邪推してしまう。となると、もしかしたら、「暮らし系」のある種お手本として、これらのカオスさが導入されていくのかもしれない…なーんて思ったり。

おわりに

でも、こういう「分類」されない、「整理整頓」されないことの面白みを表現する際に、「ヴンダーカンマー」という言葉は便利かもしれません。

かつて「ミニマリズム」という言葉を、用法を変えて「暮らし系」に根付かせた人たちがいるように。市場はそれを良しとして受け入れていくのかもしれませんが、一定の反発は出てくるでしょう。私もどちらかというとそちら側かと思います。

ここらへんとか、「近代的な博物館の裏側を描いてるのに、なんでこのタイトル…?」という使われ方をすることも、今後増えるかもしれない…。

私の部屋も「整理整頓」とは無縁なカオスな部屋ですが、ここら辺の動向は見守りつつ、言葉の用法には気を付けて、博物館やその歴史への興味が広まるきっかけになればいいな、と思っています。

相変わらずまとまりのないコラムですがこの辺で。また次回!